Contents
化学反応
1. 正反応(Forward Reaction)
定義: 正反応とは、化学反応において、反応物(初期の物質)が生成物(反応の結果得られる物質)に変わる過程を指します。
例: A+B→C+D
ここでは、反応物 A と B が反応して、生成物 C と D が生成されます。反応が進行する方向です。
2. 逆反応(Reverse Reaction)
定義: 逆反応とは、生成物が反応物に戻る過程を指します。正反応の逆方向の反応です。
例: C+D→A+B
ここでは、生成物 C と D が反応して、反応物 A と B に戻ります。逆反応が進行する方向です。
3. 平衡(Equilibrium)
定義: 平衡とは、化学反応が進行する過程において、正反応と逆反応の速度が等しくなり、反応物と生成物の濃度が一定になる状態を指します。この状態では、反応が進行し続けているものの、反応物と生成物の割合は時間とともに変わらなくなります。
平衡状態の特徴:
- 反応速度の等しい状態: 正反応と逆反応の速度が等しくなり、反応物と生成物の濃度が一定に保たれます。
- 動的平衡: 平衡に達している状態でも、反応は進行し続けていますが、反応物と生成物の濃度が時間とともに変わらないため、「平衡」と呼ばれます。
- 平衡定数 (K): 平衡状態での反応物と生成物の濃度の比率を表す定数です。
まとめ
- 正反応は反応物から生成物への変化を示します。
- 逆反応は生成物から反応物への変化を示します。
- 平衡は、正反応と逆反応が同時に進行し、反応物と生成物の濃度が一定に保たれる状態です。
平衡定数
式 Keq=[P]/[R]
- Keq: 平衡定数(Equilibrium Constant)。反応が平衡に達したときの生成物(P)と反応物(R)の濃度比を表します。
- [P]: 生成物(Product)の濃度。反応後に生成された物質のモル濃度を示します。
- [R]: 反応物(Reactant)の濃度。反応前の物質のモル濃度を示します。
平衡定数 Keq の意味
- Keq>1: 生成物の濃度が反応物の濃度よりも高い場合、反応は生成物側に偏っていることを示します。言い換えれば、反応が進行して多くの生成物が形成されている状態です。
- Keq<1: 反応物の濃度が生成物の濃度よりも高い場合、反応は反応物側に偏っていることを示します。この場合、反応があまり進行せず、生成物の形成が少ない状態です。
- Keq=1: 反応物と生成物の濃度が等しい場合、反応はちょうど平衡状態にあり、反応が同じ速さで進行していることを示します。
重要性
- 平衡定数は、化学反応がどの程度進行するかを示す指標であり、反応条件(温度、圧力、濃度など)によって変わります。特に、化学工業や生化学の分野で重要な役割を果たします。
Atomic and Molecular Rearrangements (原子および分子の再配置)
- Isomerization (異性化): 分子内で原子の配置が変わることで異なる異性体が生成される反応です。異性化には以下の2つのタイプがあります。
- Functional group change (官能基の変更): 分子内の官能基が異なるものに変わる反応です。例として、アルコールがケトンに変わる反応が挙げられます。
- Repositioning of atoms (原子の再配置): 分子内の原子や官能基が異なる位置に移動する反応です。例えば、分子の構造が変わり、別の異性体が生成されます。
リボース-5-リン酸 (Ribose-5-P) からリブロース-5-リン酸 (Ribulose-5-P) への変換
- 反応概要: この反応はペントースリン酸経路(ホスホグルコン酸経路)で行われる反応の一つで、リボース-5-リン酸(アルドース)からリブロース-5-リン酸(ケトース)への異性化反応です。反応を触媒する酵素はリボース-5-リン酸イソメラーゼです。
- 機構: アルデヒド基(-CHO)がケトン基(C=O)に変わることで、5位の酸素原子の位置が変わります。この変化は、炭素骨格そのものは変わらないものの、官能基の位置が変わるため、異性化反応となります。

2-ホスホグリセリン酸 (2-phospho glycerate) から 3-ホスホグリセリン酸 (3-phospho glycerate) への変換
- 反応概要: この反応は解糖系(グリコリシス)の過程で行われる反応の一つで、2-ホスホグリセリン酸が3-ホスホグリセリン酸に変換されます。この反応を触媒する酵素はホスホグリセリン酸ムターゼです。
- 機構: ホスホグリセリン酸のリン酸基が2位から3位に移動します。この再配置により、異なる異性体が形成されます。

ホスホグリセリン酸とは?
ホスホグリセリン酸(Phosphoglycerate)は、3つの炭素原子を持つ小さな分子です。この分子にはリン酸基(-PO₄)がくっついていて、リン酸基がどの炭素にくっついているかによって、「2-ホスホグリセリン酸」や「3-ホスホグリセリン酸」と呼ばれます。
- 2-ホスホグリセリン酸: リン酸基が2番目の炭素にくっついている。
- 3-ホスホグリセリン酸: リン酸基が3番目の炭素にくっついている。
リン酸基の移動とは?
リン酸基が2番目の炭素から3番目の炭素に移動するというのは、簡単に言うと、「リン酸基のくっつく場所が変わる」ということです。
例えを使って説明します
例えば、リン酸基を「リン酸シール」、炭素原子を「3つの箱」と考えてみましょう。
- 最初に、リン酸シールが2番目の箱に貼られている状態が「2-ホスホグリセリン酸」です。
- このリン酸シールを2番目の箱から剥がして、3番目の箱に貼り替えると、それが「3-ホスホグリセリン酸」になります。
なぜこの移動が重要?
このリン酸基の移動は、体の中でエネルギーを作るための一連の化学反応(解糖系:glycolysis)の一部です。リン酸基が移動することで、次のステップに進む準備が整います。
この反応がなければ、次にエネルギーを作り出すステップに進めないため、この移動は非常に重要です。
2. Substitution (置換反応)
- 分子内のある原子や官能基が他の原子や官能基に置き換わる反応です。例えば、ハロゲン化アルキルがアルコールに変わる反応が置換反応の一例です。
- 置換反応(Substitution Reaction)**とは、化学反応の一種で、ある分子の一部が他の原子や原子団と置き換わる反応です。
- 今回の例では、ホモシステイン (homocysteine) から メチオニン (methionine) への変化を考えます。ホモシステインとメチオニンはどちらもアミノ酸の一種ですが、少し構造が異なります。
- ホモシステインは、硫黄を含むアミノ酸で、メチル基 (–CH₃) がありません。これに対してメチオニンは、ホモシステインとよく似ていますが、メチル基 (–CH₃) が付いています。
- この変化は「メチル化 (methylation)」と呼ばれる反応で、ホモシステインがメチル基を受け取り、メチオニンに変わります。この反応は体内で重要な役割を果たしており、主にビタミンB12や葉酸が補酵素として関与します。
要約すると:
- ホモシステインがメチル基 (–CH₃) を受け取り、メチオニンに変わる
- この反応は体内でビタミンB12や葉酸が助けます
これがホモシステインからメチオニンへの変換、つまり置換反応です。

3. Redox Reactions (酸化還元反応)
- 酸化反応と還元反応が同時に起こる反応です。酸化は電子を失う反応で、還元は電子を得る反応です。これらは常にペアで起こり、電子のやり取りを通じてエネルギーの変換が行われます。

この反応は、体内でエネルギーを作り出す過程の一部です。
- 乳酸 (lactate) は、電子を持っています。
- NAD⁺ は、電子を受け取ることができる分子です(酸化剤とも呼ばれます)。
この反応では、乳酸が電子を失い、ピルビン酸 (pyruvate) に変わります。この過程で乳酸は酸化されます。
同時に、NAD⁺ が電子を受け取ってNADH に変わり、還元されます。また、H⁺(プロトン)も放出されます。
要約すると:
- 乳酸 (lactate) が酸化されてピルビン酸 (pyruvate) に変わります。
- NAD⁺ が電子を受け取って還元され、NADH になります。
- 反応の結果、H⁺ も生成されます。
この反応は、細胞がエネルギーを生成するための一部で、特に酸素が不足している状態や、筋肉が激しく活動しているときに重要です。

この反応は、ピルビン酸 (pyruvate) がアセチルCoA (acetyl-CoA) に変わる過程で、酸化還元反応と脱炭酸反応が同時に起こる非常に重要な化学反応です。この反応は、エネルギー生産の中心であるクエン酸回路(TCA回路、クレブス回路)に入る前の段階で起こります。
反応に関わる物質と役割:
- ピルビン酸 (pyruvate): これはグルコース(糖)が分解されるときに生成される物質です。
- NAD⁺: これはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドという補酵素で、電子を受け取る役割を果たします。
- CoA (CoASH): これはコエンザイムAと呼ばれる分子で、アセチル基を運ぶ役割をします。
反応のプロセス:
- 酸化と還元:
- ピルビン酸が酸化され、アセチル基 (CH₃CO-) と二酸化炭素 (CO₂) に分解されます。
- このとき、ピルビン酸が電子を放出します。この電子を**NAD⁺**が受け取り、NADHに変わります。
- 反応の中で、NADHとH⁺が生成されます。NADHは、後の段階でATP(細胞のエネルギー通貨)を作るために使われます。
- 脱炭酸反応:
- ピルビン酸が酸化されると、二酸化炭素 (CO₂) が放出されます。これは脱炭酸反応と呼ばれます。
- 残ったアセチル基 (CH₃CO-) は、コエンザイムA(CoA)と結びつき、アセチルCoA (acetyl-CoA) になります。
生成物:
- アセチルCoA (acetyl-CoA): この物質は、クエン酸回路に入り、エネルギーを作り出すプロセスに進みます。
- 二酸化炭素 (CO₂): これは、呼吸を通じて体外に排出されます。
- NADH + H⁺: これは、後にエネルギーを生成するために使われる重要な電子キャリアです。
まとめ:
- ピルビン酸が酸化され、アセチルCoAと二酸化炭素が生成されます。
- **NAD⁺**が電子を受け取り、NADHに変わります。
- 反応の結果、アセチルCoAがクエン酸回路に入り、さらなるエネルギー生産が行われます。
この反応は細胞のエネルギー代謝にとって非常に重要であり、エネルギー生産の初期段階であるため、生命活動を支える基本的なプロセスの一部です。

この反応は、グルタミン酸 (glutamate) というアミノ酸が2-オキソグルタル酸 (2-oxoglutarate) に変わる際の酸化反応を示しています。この反応は、アミノ酸の代謝やアンモニアの生成に関わる重要なプロセスです。
反応に関わる物質と役割:
- グルタミン酸 (glutamate): これはアミノ酸の一種で、タンパク質を構成する成分のひとつです。
- NAD⁺: ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドという補酵素で、酸化還元反応において電子を受け取る役割を果たします。
- H₂O (水): この反応では水が加わることで化学変化が進行します。
反応のプロセス:
- 酸化と還元:
- グルタミン酸が酸化されて2-オキソグルタル酸になります。これは、グルタミン酸が電子を放出する(酸化される)ことで起こります。
- このとき、グルタミン酸が放出した電子は**NAD⁺**に受け取られ、NADHに還元されます。このNADHは後にエネルギー生産のために使われます。
- 脱アミノ反応:
- グルタミン酸からアミノ基 (-NH₂) が除去され、アンモニア (NH₃) が生成されます。このプロセスは「脱アミノ化」と呼ばれます。
- 同時に、水 (H₂O) が反応に加わり、2-オキソグルタル酸が生成されます。
生成物:
- 2-オキソグルタル酸 (2-oxoglutarate): これはクエン酸回路(TCA回路)の中間体で、エネルギー生産の過程で重要な役割を果たします。
- アンモニア (NH₃): これは窒素代謝の一部で、体内で尿素として排出される前段階の産物です。
- NADH + H⁺: これは、エネルギー生産に寄与する電子キャリアです。
まとめ:
- グルタミン酸が2-オキソグルタル酸に変わる際に、NAD⁺が電子を受け取りNADHに変わります。
- 同時に、アンモニア (NH₃) が生成されます。
- この反応は、体内でのアミノ酸代謝やエネルギー生産において非常に重要です。
この反応は特に肝臓や腎臓で起こり、体内の窒素代謝やエネルギー代謝に深く関わっています。
酸化と還元の対比表
用語 | 説明 | 例 |
---|---|---|
酸化 (Oxidation) | 電子を失う反応。酸化数が増加し、酸素と結びつく、または水素を失うことを含む。 | Fe²⁺ → Fe³⁺ + e⁻ |
還元 (Reduction) | 電子を得る反応。酸化数が減少し、酸素を失う、または水素と結びつくことを含む。 | Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu |
酸化剤 (Oxidizing Agent) | 他の物質を酸化し、自らは還元される物質。 | O₂、H₂O₂ |
還元剤 (Reducing Agent) | 他の物質を還元し、自らは酸化される物質。 | H₂、CO |
酸化数 (Oxidation Number) | 元素の酸化状態を示す数値。酸化数の増加は酸化、減少は還元を意味する。 | Fe: 0 → +2 (酸化), Cu: +2 → 0 (還元) |
例: 酸化還元反応の化学式
酸化反応例: Fe→Fe2++2e− 鉄 (Fe) は電子を失い、Fe²⁺ に酸化されます。
還元反応例: Cu2++2e−→Cu 銅イオン (Cu²⁺) は電子を得て、Cu に還元されます。
4. Cleavage (開裂反応)
- 分子が分解される反応です。以下のタイプがあります。
- (a) Hydrolysis (加水分解): 水分子を用いて化学結合を切断する反応です。例えば、エステルが酸とアルコールに分解される反応が加水分解です。
- (b) Splitting into two (分裂): 一つの分子が二つの分子に分裂する反応です。例えば、グリコーゲンがグルコースに分解される反応です。

この反応は、グルコース-6-リン酸 (Glucose-6-phosphate, Glucose-6-P) がグルコース (Glucose) と無機リン酸 (Pi) に変わる反応です。この反応は、糖の代謝において重要な役割を果たします。特に、糖新生やグリコーゲン分解の過程で見られます。
反応に関わる物質と役割:
- グルコース-6-リン酸 (Glucose-6-P): グルコースにリン酸基 (–PO₄³⁻) が結合した分子で、糖代謝の中間体です。
- H₂O (水): この反応では水が加わり、リン酸基が外れる役割を果たします。
- Pi (無機リン酸): リン酸基 (–PO₄³⁻) のことで、リン酸基がグルコースから分離した後の形です。
反応のプロセス:
- 加水分解 (Hydrolysis):
- グルコース-6-リン酸は、リン酸基 (–PO₄³⁻) がグルコースの6位の炭素に結合している状態です。
- 水 (H₂O) が加わることで、リン酸基が分解され、グルコースが解放されます。この反応は加水分解と呼ばれます。
- 分離されたリン酸基は、無機リン酸 (Pi) になります。
生成物:
- グルコース (Glucose): これは、体内でエネルギー源として使われる最も基本的な糖です。血糖としても知られ、細胞がエネルギーを得るために使用します。
- 無機リン酸 (Pi): これは、リン酸基が水と反応して分離した形です。Piは体内でさまざまな生化学的プロセスに利用されます。
反応の重要性:
- この反応は、糖新生(糖の合成)やグリコーゲン分解(グリコーゲンがグルコースに分解されるプロセス)で重要です。特に肝臓でこの反応が起こり、血糖値を維持するためにグルコースを供給します。
- また、エネルギーを供給するためにグルコースを利用するための準備としても重要です。

この反応は、フルクトース-1,6-ビスリン酸 (Fructose-1,6-bisphosphate, F-1,6-BP) がグリセルアルデヒド-3-リン酸 (Glyceraldehyde-3-phosphate, G3P) とジヒドロキシアセトンリン酸 (Dihydroxyacetone phosphate, DHAP) に分解される過程を示しています。この反応は、解糖系(グルコースがエネルギーを生成するために分解される過程)の重要なステップの一つです。
反応に関わる物質と役割:
- フルクトース-1,6-ビスリン酸 (F-1,6-BP): これは、解糖系においてグルコースが数段階分解された後に生成される中間体で、炭素鎖の6位と1位にリン酸基が結合した分子です。
- グリセルアルデヒド-3-リン酸 (G3P): これは、解糖系でエネルギーを生成するための重要な中間体の一つです。
- ジヒドロキシアセトンリン酸 (DHAP): これは、グリセルアルデヒド-3-リン酸と互いに変換可能な中間体で、解糖系の途中でエネルギー生成に関与します。
反応のプロセス:
- 分裂反応 (Cleavage Reaction):
- フルクトース-1,6-ビスリン酸 (F-1,6-BP) が分解酵素アルドラーゼ (aldolase) の作用によって、6炭素の鎖が2つの3炭素分子に分裂します。
- その結果、2つの異なる分子が生成されます。1つはグリセルアルデヒド-3-リン酸 (G3P) で、もう1つはジヒドロキシアセトンリン酸 (DHAP) です。
- 互変異性 (Isomerization):
- DHAP と G3P は互いに変換可能な構造を持っています。トリオースリン酸イソメラーゼ (triose phosphate isomerase) という酵素が働くことで、DHAP は簡単に G3P に変換されることができます。
- 解糖系では、DHAP も G3P に変換され、2分子の G3P が生成されます。これが解糖系の次のステップに進む材料となります。
生成物:
- グリセルアルデヒド-3-リン酸 (G3P): これが次の解糖系のステップに進み、さらにエネルギーを生成します。
- ジヒドロキシアセトンリン酸 (DHAP): この分子も G3P に変換され、解糖系に利用されます。
反応の重要性:
- このステップは、解糖系のエネルギー生成における重要なポイントで、6炭素の分子が2つの3炭素分子に分かれることで、エネルギー効率を高めます。
- 解糖系は細胞がエネルギー(ATP)を得る主要なプロセスの一つで、この反応はそのプロセスを円滑に進めるために重要です。
5. Condensation (縮合反応)
- 二つの分子が結合して一つの分子を生成し、水分子が放出される反応です。例えば、アミノ酸が結合してペプチドを形成するときに水が生成される反応です。

反応の概要:
- グルコース (Glucose) は単糖(モノサッカライド)と呼ばれる糖分子です。2つのグルコース分子が結合すると、マルトース (Maltose) と呼ばれる二糖(ダイサッカライド)が形成されます。
- この結合の過程で、1つの水分子 (H₂O) が放出されます。この反応は、酵素の助けを借りて進行し、食品中で見られる糖質の生成に関わっています。
反応のプロセス:
- グリコシド結合: グルコース分子の1つの水酸基 (–OH) と、もう1つのグルコース分子の水酸基が結合し、水 (H₂O) が放出されます。この結合は「グリコシド結合」と呼ばれ、マルトースを形成します。
生成物:
- マルトース (Maltose): 2つのグルコース分子が結合してできた二糖。マルトースは、デンプンの消化過程や食品の甘味料としても知られています。
- 水 (H₂O): この反応によって1つの水分子が放出されます。
反応の概要:
- アミノ酸 (Amino Acids) は、タンパク質を構成する基本単位です。2つのアミノ酸が結合すると、ジペプチド (Dipeptide) と呼ばれる分子が形成されます。
- この結合の過程でも、水 (H₂O) が1分子放出されます。この反応はタンパク質の合成における基本的なプロセスです。
反応のプロセス:
- ペプチド結合: 1つのアミノ酸のカルボキシル基 (-COOH) と、別のアミノ酸のアミノ基 (-NH₂) が反応し、ペプチド結合が形成されます。この結合ができるときに、水分子 (H₂O) が放出されます。
生成物:
- ジペプチド (Dipeptide): 2つのアミノ酸が結合してできた分子。ペプチド結合でつながっており、タンパク質の最初の構成単位となります。
- 水 (H₂O): この反応で1つの水分子が放出されます。
6. Addition (付加反応)
- 二つの分子が結合して一つの分子を生成する反応ですが、縮合反応とは異なり、水分子が放出されません。この反応には以下のタイプがあります。
- (a) No water elimination (水が放出されない): ATPなどのエネルギー供給源を使用して分子を結合させる反応です。
- (b) May form across a double bond (二重結合を介して形成されることがある): 二重結合に分子が付加され、新たな結合が形成される反応です。例えば、エチレンに水素が付加されてエタンが生成される反応です。

反応の概要:
- グルタミン酸 (Glutamate) は、タンパク質を構成するアミノ酸の一つです。この反応では、グルタミン酸がアンモニア (NH₃) と結合してグルタミン (Glutamine) を生成します。
- ATP (アデノシン三リン酸) はエネルギー源として使われ、反応を駆動します。この過程でADP (アデノシン二リン酸) と無機リン酸 (Pi) が生成されます。
反応のプロセス:
- アミド合成: グルタミン酸のカルボキシル基 (-COOH) がアンモニア (NH₃) と反応してアミド基 (-CONH₂) を形成します。この反応により、グルタミンが生成されます。
- エネルギー供給: この結合反応にはエネルギーが必要です。ATP がエネルギーを供給し、その結果、ADP と無機リン酸 (Pi) が放出されます。
生成物:
- グルタミン (Glutamine): これはグルタミン酸にアンモニアが結合した形で、窒素の輸送や貯蔵に重要な役割を果たします。
- ADP (アデノシン二リン酸): ATP がエネルギーを放出して生成される分子です。
- 無機リン酸 (Pi): ATP が分解される際に放出されるリン酸基です。
反応の重要性:
- この反応は、窒素代謝において非常に重要です。特に、アンモニアの無毒化やアミノ酸の合成においてグルタミンは重要な役割を果たします。
- グルタミンはまた、細胞のエネルギー供給や免疫機能にも関与しています。

反応の概要:
- フマル酸 (Fumarate) は、クエン酸回路(TCA回路)の中間体であり、エネルギー生産のプロセスにおいて重要です。
- 水 (H₂O) がフマル酸に加わることで、マレート (Malate) が生成されます。この反応は、クエン酸回路の中で進行します。
反応のプロセス:
- 付加反応: 水 (H₂O) がフマル酸の二重結合に付加することで、マレートが形成されます。これは、フマル酸の炭素間の二重結合に水が付加するプロセスです。
生成物:
- マレート (Malate): これはクエン酸回路の中間体であり、次のステップでオキサロ酢酸 (Oxaloacetate) に変換され、回路が続行します。
反応の重要性:
- クエン酸回路は、細胞がエネルギーを生成するための中心的なプロセスです。この反応は、エネルギーの生成とATPの合成に必要な電子を供給するために重要です。
- マレートは次にオキサロ酢酸に変換され、この過程でNADHが生成され、電子伝達系でATPの生成に使われます。
7. Transfer (転移反応)
- 原子団や官能基が一つの分子から別の分子に移動する反応です。以下のタイプがあります。
- (a) Phosphate group transfer (リン酸基の転移): ATPからリン酸基が基質に転移する反応です。これにより基質が活性化されることが多いです。
- (b) Swapped between molecules (分子間の交換): 二つの分子間で官能基や原子団が交換される反応です。

反応の概要:
- グルコース (Glucose) は、細胞がエネルギー源として利用する主要な糖です。この反応では、グルコースがATPのエネルギーを利用してリン酸化され、グルコース-6-リン酸 (G-6-P) になります。
- ATP (アデノシン三リン酸) はエネルギーを供給する分子であり、リン酸基をグルコースに付加することでADP (アデノシン二リン酸) に変換されます。
反応のプロセス:
- リン酸化 (Phosphorylation): ATPのリン酸基 (–PO₄³⁻) がグルコースの6位の炭素に結合し、グルコース-6-リン酸 (G-6-P) が生成されます。この反応は、酵素ヘキソキナーゼ (hexokinase) やグルコキナーゼ (glucokinase) によって触媒されます。
生成物:
- グルコース-6-リン酸 (G-6-P): これは解糖系の最初のステップで生成され、エネルギー代謝やグリコーゲン合成のための基質として利用されます。
- ADP (アデノシン二リン酸): ATPがリン酸基を失った後の形で、エネルギー供給が終了した分子です。
反応の重要性:
- この反応は解糖系の最初のステップであり、細胞がグルコースを取り込んでエネルギー生成の準備をする重要な反応です。
- G-6-Pは、エネルギー生成、グリコーゲン合成、ペントースリン酸経路などのさまざまな代謝経路に進むことができます。

反応の概要:
- グルタミン酸 (Glutamate) は、アミノ酸代謝において重要な役割を果たすアミノ酸です。この反応では、グルタミン酸がオキサロ酢酸 (Oxaloacetate) と反応し、2-オキソグルタル酸 (2-Oxoglutarate) とアスパラギン酸 (Aspartate) を生成します。
- この反応は、アミノ基転移反応 (Transamination) と呼ばれ、アミノ酸の合成や分解の過程で重要です。
反応のプロセス:
- アミノ基転移 (Transamination): グルタミン酸のアミノ基 (-NH₂) がオキサロ酢酸に転移し、その結果、グルタミン酸は2-オキソグルタル酸に変換され、オキサロ酢酸はアスパラギン酸に変換されます。この反応は酵素アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ (Aspartate aminotransferase, AST) によって触媒されます。
生成物:
- 2-オキソグルタル酸 (2-Oxoglutarate): これはクエン酸回路の中間体であり、エネルギー生産や窒素代謝において重要です。
- アスパラギン酸 (Aspartate): これはタンパク質合成やその他のアミノ酸代謝経路に関与するアミノ酸です。
反応の重要性:
- この反応は、アミノ酸の代謝と窒素代謝の重要な部分です。アスパラギン酸は、尿素回路やその他の生合成経路において不可欠な役割を果たします。

反応の概要:
- この反応はペントースリン酸経路 (Pentose Phosphate Pathway, PPP) の一部で、糖の代謝においてNADPHとリボース-5-リン酸を生成する際の重要なステップです。
- セドヘプツロース-7-リン酸とグリセルアルデヒド-3-リン酸が反応して、エリトロース-4-リン酸とフルクトース-6-リン酸が生成されます。
反応のプロセス:
- カルボン酸基転移反応: セドヘプツロース-7-リン酸から2つの炭素がグリセルアルデヒド-3-リン酸に転移されます。この反応は、トランスケトラーゼ (transketolase) によって触媒されます。
生成物:
- エリトロース-4-リン酸 (Erythrose-4-phosphate): 4炭素の糖リン酸であり、アミノ酸合成やペントースリン酸経路の他の反応に関与します。
- フルクトース-6-リン酸 (Fructose-6-phosphate): これは、解糖系とペントースリン酸経路の両方に関与する重要な中間体です。
反応の重要性:
- ペントースリン酸経路は、細胞の還元力であるNADPHを生成し、脂質合成や抗酸化機構に必要な電子を供給します。この経路の中間体は、他の代謝経路に流用されることが多く、細胞の代謝ネットワークをつなぐ重要な役割を果たします。
分類 | 特徴 | 反応 |
---|---|---|
Rearrangement | 同じ分子の異性体を生成するために、原子の配置が変わる。分子内の原子の結びつきの数は変わらない。 | Ribose-5-P → Ribulose-5-P (リボース-5-リン酸からリブロース-5-リン酸への異性化) [ペントースリン酸経路] |
Rearrangement | 異性体の生成のために、原子の位置が変更されるが、化学結合の数や種類は変わらない。 | 2-Phospho glycerate → 3-Phospho glycerate (2-リン酸化グリセリン酸から3-リン酸化グリセリン酸への異性化) [解糖系] |
Substitution | ある原子または原子団が別の原子または原子団に置き換わり、化学的性質が変化する。 | Homocysteine → Methionine (ホモシステインがメチオニンに置換する反応) [メチオニン代謝] |
Redox Reaction | 電子の移動により酸化還元反応が進行し、酸化状態が変化する。 | Lactate + NAD⁺ → Pyruvate + NADH + H⁺ (乳酸がピルビン酸に酸化され、NAD⁺がNADHに還元される反応) [解糖系] |
Redox Reaction | 電子の移動により酸化還元反応が進行し、酸化状態が変化する。 | Pyruvate + NAD⁺ + CoA → Acetyl-CoA + CO₂ + NADH + H⁺ (ピルビン酸がアセチルCoAに変わり、CO₂とNADHが生成される反応) [クエン酸回路] |
Redox Reaction | 酸化還元反応により、分子の酸化状態が変化し、電子が移動する。 | Glutamate + NAD⁺ + H₂O → NH₃ + 2-Oxoglutarate + NADH + H⁺ (グルタミン酸が2-オキソグルタル酸に酸化され、NH₃とNADHが生成される反応) [アミノ酸代謝] |
Cleavage | 分子内の結合が切断され、2つ以上の小さな分子が生成される反応。加水分解が関与することが多い。 | Glucose-6-P + H₂O → Glucose + Pi (グルコース-6-リン酸が加水分解されてグルコースと無機リン酸が生成される反応) [解糖系] |
Cleavage | 大きな分子が切断されて、2つの小さな分子が生成される。通常、加水分解反応が含まれる。 | Fructose-1,6-bisphosphate → Glyceraldehyde-3-phosphate (G3P) + Dihydroxyacetone phosphate (DHAP) (フルクトース-1,6-ビスリン酸が分解されてG3PとDHAPが生成される反応) [解糖系] |
Condensation | 2つ以上の小さな分子が結合し、大きな分子を形成する際に水分子が生成される反応。 | 2 Glucose → Maltose + H₂O (2分子のグルコースが結合してマルトースが形成され、1分子の水が生成される反応) [糖合成] |
Condensation | 2つのアミノ酸が結合して、ジペプチドが形成される反応。副産物として水が生成される。 | 2 Amino Acids → Dipeptide + H₂O (2アミノ酸が結合してジペプチドが形成され、1分子の水が生成される反応) [タンパク質合成] |
Addition | 小さな分子が結合して新しい分子を形成し、通常は付加された分子によって新しい化学結合が作られる。 | Glutamate + NH₃ + ATP → Glutamine + ADP + Pi (グルタミン酸とアンモニアが結合してグルタミンが生成され、ADPと無機リン酸が生成される反応) [アミノ酸代謝] |
Addition | 小さな分子が結合して新しい化学結合を形成し、より大きな分子を生成する反応。 | Fumarate + H₂O → Malate (フマル酸が加水分解されてマレイン酸が生成される反応) [クエン酸回路] |
Transfer | 化学基(リン酸基やアミノ基など)が1つの分子から別の分子に転移する反応。 | Glucose + ATP → Glucose-6-phosphate (G-6-P) + ADP (グルコースにリン酸基が転移してグルコース-6-リン酸が生成され、ADPが生成される反応) [解糖系] |
Transfer | 化学基が別の分子に移動し、新しい分子が形成される反応。通常、転移する基が反応に重要な役割を果たす。 | Glutamate + Oxaloacetate → 2-Oxoglutarate + Aspartate (グルタミン酸からオキサロ酢酸へアミノ基が転移し、2-オキソグルタル酸とアスパラギン酸が生成される反応) [アミノ酸代謝] |
Transfer | 化学基が一方の分子から他方の分子に移動し、新しい化学結合が形成される反応。 | Sedoheptulose-7-phosphate + Glyceraldehyde-3-phosphate → Erythrose-4-phosphate + Fructose-6-phosphate (セドヘプツロース-7-リン酸とグリセルアルデヒド-3-リン酸が反応し、エリスロース-4-リン酸とフルクトース-6-リン酸が生成される反応) [ペントースリン酸経路] |
物質の名前 | 機能 | 特徴 | 経路 |
---|---|---|---|
Ribose-5-phosphate | ペントースリン酸経路での中間体 | 糖代謝中の異性体、リボースからリブロースへの変化 | ペントースリン酸経路 |
Ribulose-5-phosphate | ペントースリン酸経路での中間体 | リボース-5-リン酸からリブロース-5-リン酸への異性化 | ペントースリン酸経路 |
2-Phospho glycerate | 解糖系での中間体 | グリセリン酸の異性体、2-リン酸化グリセリン酸として存在 | 解糖系 |
3-Phospho glycerate | 解糖系での中間体 | 2-リン酸化グリセリン酸から生成される、エネルギー供給に関与 | 解糖系 |
Homocysteine | メチオニン合成の前駆体 | アミノ酸の代謝に関与、メチオニンの合成に重要 | メチオニン代謝 |
Methionine | タンパク質の合成やメチル基供給の役割 | 必須アミノ酸、メチル化反応に関与 | メチオニン代謝 |
Lactate | 解糖系の最終産物でエネルギー供給に関与 | 乳酸の形で筋肉に蓄積され、エネルギー供給に使用 | 解糖系 |
Pyruvate | 解糖系の最終産物でクエン酸回路の前駆体 | エネルギー代謝の中心、アセチルCoAへの変換 | 解糖系、クエン酸回路 |
NAD⁺ | 酸化還元反応の補助因子 | 酸化還元反応で電子受容体として機能 | 解糖系、クエン酸回路 |
NADH | 酸化還元反応の生成物 | エネルギー生成に関与、電子供給体として機能 | 解糖系、クエン酸回路 |
H⁺ | 酸化還元反応やpH調整に関与 | 酸性度の調整やエネルギー生成に関与 | 解糖系、クエン酸回路 |
CoA | アセチルCoAなどの中間体 | アセチル基の転移に関与、エネルギー代謝に重要 | クエン酸回路 |
Acetyl-CoA | クエン酸回路の重要な中間体 | 脂肪酸合成やエネルギー生成に関与 | クエン酸回路 |
CO₂ | 呼吸や光合成の産物 | エネルギー代謝の副産物、呼吸で生成される | クエン酸回路 |
Glutamate | アミノ酸代謝の中間体 | アミノ酸の代謝に重要、アミノ基の供給 | アミノ酸代謝 |
NADH | 酸化還元反応の生成物 | エネルギー生成に関与、電子供給体として機能 | アミノ酸代謝 |
Glucose-6-phosphate | 解糖系の中間体 | グルコースのリン酸化によるエネルギー供給 | 解糖系 |
Glucose | エネルギーの主要供給源 | 糖代謝の基礎、エネルギー生成に重要 | 解糖系 |
Pi | ATPの加水分解反応の副産物 | エネルギー代謝や細胞機能に重要 | 解糖系、ATP合成 |
Fructose-1,6-bisphosphate | 解糖系の中間体 | フルクトースのリン酸化、解糖系での重要な役割 | 解糖系 |
Glyceraldehyde-3-phosphate (G3P) | 解糖系の中間体 | エネルギー生成に関与、解糖系での重要な役割 | 解糖系 |
Dihydroxyacetone phosphate (DHAP) | 解糖系の中間体 | G3Pと相互に変換可能な糖代謝中間体 | 解糖系 |
Maltose | 糖の合成産物 | 2分子のグルコースから形成される二糖類 | 糖合成 |
Dipeptide | タンパク質の合成産物 | 2アミノ酸から形成される小さなペプチド | タンパク質合成 |
Glutamine | アミノ酸の合成中間体 | グルタミン酸からアンモニアとATPで合成される | アミノ酸代謝 |
ADP | ATPの加水分解反応の副産物 | エネルギー代謝に関与、ATPの生成に関与 | ATP合成 |
Fumarate | クエン酸回路の中間体 | 酸化還元反応の中間体、マレイン酸に変換される | クエン酸回路 |
Malate | クエン酸回路の中間体 | クエン酸回路で重要な中間体、フマル酸から生成 | クエン酸回路 |
Sedoheptulose-7-phosphate | ペントースリン酸経路の中間体 | グリセルアルデヒド-3-リン酸と反応して生成される | ペントースリン酸経路 |
Glyceraldehyde-3-phosphate | 糖の中間体 | 反応でエリスロース-4-リン酸を生成 | ペントースリン酸経路 |
Erythrose-4-phosphate | ペントースリン酸経路の中間体 | 糖代謝の中間体、セドヘプツロース-7-リン酸と反応 | ペントースリン酸経路 |
Fructose-6-phosphate | 糖代謝中の中間体 | ペントースリン酸経路で生成される | ペントースリン酸経路 |
Aspartate | アミノ酸代謝の中間体 | アミノ酸の代謝に関与、アミノ基転移に関与 | アミノ酸代謝 |
2-Oxoglutarate | クエン酸回路の中間体 | アミノ酸代謝やエネルギー代謝に関与 | クエン酸回路 |
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